スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

ミリオンライブ創作の世界で描かれる物語 ~ISF03の感想を添えて~

5月20日に蒲田で開催された同人誌即売会・ISF03に参加してきました。

★IDOL STAR FESTIV@L HP(http://idolstarfes.com/)

 当日の東京は非常に暑かった上に、ISF会場内もかなりの混雑でしたので、参加された皆様も大変だったかと思います。本当にお疲れ様でした。

 アイマス関連の即売会にはこれまでも足を運んでいますが、その中でもISFは運営サイドの対応が非常に細やかという評判をよく耳にします。そういった良い雰囲気もあってか、第3回目となる今回のISFでぜひとも本を出したいという作家さんも増えていたのではないでしょうか。
 今回のISFでも非常に良質の作品が充実していて、有意義な時間を過ごすことが出来ました。

 それでは当日出会った作品の中より、6作品について感想を書いていきたいと思います。




①AGAIN
AGAIN.jpg
ショーンP

 徳川まつりPとして、今回のISFでも特に注目していた作品です。もともと私はショーンPの「全編ボールペンのみで描かれる幻想世界」のファンなのですが、本作はまつりが主役ということで、さらに楽しみにしていました。

 「金属の住人」達の町で暮らす徳川まつり。ある日彼女のもとに、一通の手紙が届きます。それは数年前、ひょんなことから知り合った少女・天空橋朋花からのお誘いでした。まつりは手紙を片手に、「飛行船」に乗って朋花の住む異郷の町へと出発します。再会の場所は、かつてお世話になった「とある方々」のいる劇場なのですが…… 

 生活感と異界感の共存する街角、不可思議な姿の住人たち、その中に混じるミリオンライブのアイドル達、そして思い出の劇団等々、まつりの通り過ぎる風景はどれも幻想的で美しく、ページをめくる度に息を飲むほどです。
 この奥行きのある幻想世界を、全ページモノクロで、かつセリフをひと言も使わずにストーリー性を生み出しているところに、ショーンPの豊かな表現力を感じました。

 読む者の想像力を極限まで掻き立ててくれる素敵な一冊。まつりとの異世界旅行のひとときへと導いてくれる、いわばパスポートのような作品と言えるでしょう。




②望月杏奈 輝きをめぐる冒険
輝きをめぐる冒険
りよまる。さん

 ニコマスP時代から大尊敬していた、りよまる。さんの御本です。りよまる。さんの美麗なイラストは、これまでにもたくさん拝見してきましたが、今回はじめて紙媒体で作品を手元に置くことが出来ることに、この上ない喜びを感じています。

 本作は望月杏奈をメインとする物語。ゲームに学校に、いつも変わらない日常を過ごしていた女の子が、「アイドル」の道に出会うことで、生き方そのものが変わっていく姿が描かれます。

 人間は運命的な出会いをしたときに「世界の彩度」が変わる瞬間があると聞きますが、まさに本作の杏奈が体験したのがそれではないでしょうか? 人が目標を得て、まっすぐ前を見据えて歩き始めるとき、まったく新しい世界が目の前に広がるのだと思います。りよまる。さんの描かれる、杏奈がアイドルと出会ったステージの描写は、まるで紙面から光が零れ落ちるような輝きに満ちており、本当に美しく感じられました。
 
 望月杏奈の人生に大革命をもたらしたエピソードを描く、渾身の一冊です。




③冴えた約束の破り方
冴えた約束の破り方
本文:吉崎堅牢さん、表紙:すがるこさん

 ことミリオンライブの創作ジャンルにおいて、私が厚く信頼を寄せている2人の作家、吉崎堅牢さんとすがるこさんがタッグを組んだ作品です。表題作を含め、全4編の小説を収めた珠玉の連作短編集。

 バースデーライブ後の興奮冷めやらぬ中、アイドルからの卒業を表明した秋月律子と、彼女の最後の舞台をプロデュースすることに名乗りを上げた松田亜利沙。この2人を中心とした物語を「縦糸」としつつ、短編ごとに福田のり子、如月千早ら他のアイドル達の視点を「横糸」に織り込むことで、律子の卒業までの物語を鮮やかに織り成した連作となっています。

 本書に収められている4作品は、それぞれに趣きの異なる短編となっているのですが、その根底にあるのは作者・吉崎さんの圧倒的なロマンティシズムの世界観ではないかと感じました。ひとつひとつのシーンの描写が宝石のように美しく、特に表題作の書き出し1ページ目に並ぶ鮮やかな語り口は本当に見事です。

 亜利沙の律子を想う気持ちが、最後に最高の「贈り物」として結実していくストーリーに、読んでいて胸が熱くなりました。
 悲しさが付きまとう人との別れを、これ以上ない幸せの形にまで昇華して描いた快作です。





④まつりのはなし
まつりのはなし
いずみせらさん

 インパクトの強い作品の数々で知られる、いずみせらさんのまつり本です。まつり本人はあまり出てこない代わりに、様々な人たちの証言からまつりのイメージを描き出していくという、独特のお話となっています。

 TV番組の企画で、謎多きアイドル・徳川まつりの秘密を探るため、劇場の仲間達から情報収集を開始する横山奈緒。このみさん、朋花、茜ちゃんと話を聞いていくうちに、その不可思議なエピソードの数々から余計に頭を悩ませることになります。

 しかし、最後に会った亜利沙の意見によって、奈緒の中にまつりの正体に関する「ある仮説」が浮かび上がってきます。奈緒がたどり着いた割と身も蓋もない結論とは?

 徳川まつりの謎が謎を呼ぶ読めない人物像が、色々な人の考察や想像力を刺激して、結果的に深みのあるパーソナリティになっているというのは私も同意ですし、何より私自身がまつり考察の深みにはまった人間でもあるので、非常に興味深く読むことが出来た作品でした。




⑤タクサンノコトバ
タクサンノコトバ
主筆:サイトロさん 表紙:成海七海さん
執筆者:守次奏さん、こはさん、ソーライトさん、タコさん、濁流さん、サイトロさん

 総勢5名の執筆者による小説と、成海七海さんの清楚なイラストが映える田中琴葉合同本です。
 万事真面目にして、繊細な心の持ち主である琴葉の魅力を、あらゆる角度から描いた、ボリューミーな一冊となっています。

・「明日へのプロミス・トゥー・ユー/守次奏さん」:今でこそ大親友である琴葉と所恵美のファーストインプレッションは、実は悪いものだったのではないか? という素晴らしい着眼点から描かれた作品。ふたりの歩み寄りに至る階梯が細やかに書き連ねられており、美しい物語の流れとなっています。

・「ユニットの名は。/こはさん」:かの大ヒットアニメ映画を彷彿とさせるタイトルですが、琴葉・舞浜歩・宮尾美也のトリオがユニット名を決めていく様子を、コメディタッチの軽快な筆致で描いた作品となっています。一見、統一性のないユニットに見えますが、だからこそ、3人の個性が引き立つ組み合わせになるのではないでしょうか。

・「アイドル協箏曲/ソーライトさん」:和楽器にまつわるTV企画のため、エミリー・スチュアートとともに楽器の博物館を訪れる琴葉を描いた作品。「琴」というキーワードを元に、とても素直な二人の感性の在り方を描いた一作となっています。

・「図書室の少女たち/サイトロさん」:図書室での二人の少女の出会いを描くドラマ撮影を舞台に、琴葉と七尾百合子の姿を描いた作品です。役柄と本人たちの感情がシンクロしていき、現実の世界の関係性にも及んでいく様子が、印象的な筆致で描かれています。

・「ブリュレ/タコさん」:琴葉と徳川まつりが買い出しの道すがら交流する姿を描いた作品。理論肌と感覚肌の違いはあれど、両人とも演技を得意とするアクトレス型のアイドルという共通点があります。そんな二人のそれぞれの考え方が対比される一作となっています。

・「かつての暁光/濁流さん」:新人アイドル「野分あきら」という少女と、彼女とともに歩む「女性プロデューサー」のお話し。この「女性プロデューサー」の正体が誰なのかは推して知るべし…… といったところでしょうか。あり得るかもしれない将来の一幕を描いた作品です。

・「朝焼けに消えないで/サイトロさん」:朝焼けを前に、琴葉とプロデューサーのひとときの対話を描いた作品。本合同誌の主筆・サイトロさんによる、小説集の締めとなるお話です。万事真面目にして繊細な心の持ち主、そしてそれ以上にどこか儚げな雰囲気を身にまとう田中琴葉の姿が、朝焼けの世界の中に溶け込んでいきます。




⑥FUNK LOVE/桃色はいらない
FUNKLOVE.jpg
本文:サイトロさん 表紙:しのーじP

 二階堂千鶴と周防桃子にスポットを当てた、ふたつの作品を収録する小説本です。大人と子供、ふたりの年齢は大きく離れていますが、アイドルとして生きる姿はどちらも真剣そのもの。そんな彼女たちのバックステージに迫った作品となっています。

 「FUNK LOVE」は千鶴さんをを中心とするLTP12メンバーと、プロデューサーとの関係性を描いたビターな恋愛譚。お互いを想い合っていながらすれ違ってしまう千鶴さんとプロデューサーの関係が切なく、そんなふたりのために奔走するロコ、桃子、雪歩の優しさが素敵な物語です。 千鶴さんの気丈さが胸に伝わってくるような一作でした。

 「桃色はいらない」は、劇場内での演技トレーニングの一幕をピックアップした作品。演技において圧倒的な実力を見せる桃子、大人びた気配りをしてくれる千鶴さん、そして懸命の努力で演技力を磨く七尾百合子を描いた物語となっています。厳しくも百合子の演技力の成長をきちんと見てくれる桃子なりの思いやりが描かれた、素晴らしい一作です。




 以上6作品を紹介しました。

 ISFは、毎回優れたミリオンの名作が世に出る発表の場なので、本当にありがたいと思っています。
 次の「ISF04」は2017年10月29日(日)、同じく大田区産業プラザPiOでの開催でアナウンスされており、私も半年後を楽しみにしています。

 



関連記事
スポンサーサイト
.28 2017 アイドルマスター comment0 trackback0

comment

post comment

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://nichohon.blog78.fc2.com/tb.php/998-54cf7199

プロフィール

NP

Author:NP
 NovelsM@sterの紹介をメインに活動している「NP」と申します。動画サイトでは「ニコラスP(NicholasP)」名義を用いています。

多機能カテゴリー

<< 全タイトルを表示 >>

カテゴリ展開メニュー

  • 未分類(14)
  • はじめに(2)
  • NP氏の本棚ポータル(1)
  • アイドルマスター(641)
  • アイマスライブ(5)
  • 武道(45)
  • ニコラスP(19)
  • 徳川まつり(24)
  • ニコニコ動画(32)
  • 日常の徒然(15)
  • ファルコム(4)
  • 社会(9)
  • TV(16)
  • コミックス(1)
  • 東方プロジェクト(15)
  • 声優(5)
  • 本(2)
  • 音楽(9)
  • ゲーム(4)
  • ヴァンプリ(3)
  • 艦隊これくしょん(1)
  • イラスト紹介(0)
  • RWBY(2)
  • 月別動画蔵出し(5)
  • ノカデミー賞(ノベマス)(2)
  • ノベマス特集企画(5)
  • ニコマス20選(15)
  • ノベマス・過去作ふりかえり紹介(2)
  • novem@s exchange!(2)

来訪者

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。