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ノベマス特集企画(特別篇) 天下Pという「存在」 (引退によせて)

※今日はミリオンライブ・ハッピーパフォーマンス二日目の感想記事を書く予定でしたが、天下Pが引退されるとの報を受けたため、急きょ予定を変更して記事をお送りします。



 2012年以降のノベマス界において、屈指の実力派Pとして知られた天下Pですが、この度最後の作品を発表されたとのことでした。

ある透明な愛のうた 前編


ある透明な愛のうた 後編

天下P & DAT3Pの合作

 天下pは2008年8月にPVPとしてデビュー後、3年半近いブランクを経て、2012年1月以降からノベマスPとして活動を再開したという、かなり特異な経歴を持つPです。

 PV畑出身であるためか、彼の作品はノベマスでありながら映像面の演出が際立っており、どれも『劇場版クオリティ』と評せるほど冴え渡っています。
 さらにそのビジュアル演出に深みを与える秀逸なシナリオ構成力を兼ね備えているため、彼の作例はどれを取り上げても高水準です。

 どの作品でも良いので天下Pのノベマスをひとつ見ていただけたなら、『ああ、こんな綺麗なノベマスを作れる人がこの世にいるんだ…』という感動を分かち合えるかと思います。
 私も、オススメのノベマスを紹介してくれと人に言われたら、天下Pの作品を紹介リストの中に入れるのは、まず間違いないことでしょう。


2014y06m14d_230644086.jpg
※「僕の神様は人の形をしている」より


 しかしながら、こういった彼のノベマス構成の精緻さというのは、いわば『外側』の魅力であって、天下P作品の真の魅力はもう一段深い所に流れるテーマ性にあるのではないかと思うのです。


 私見ですが、天下Pはデビュー以降、一貫して人間の『存在』のあり方をテーマにし続けているのではないか、と考えています。


 私個人はこれまで天下Pご本人と直接絡んだことがないので、彼がどのような哲学を以てノベマス作りを行っているかは、作品から推測する以外の方法がありませんが、今回発表された「ある透明な愛のうた」を見て、やはりある程度そういうテーマ性を意識されているのかな、と感じました。

 そこで今回の特集では「存在」という言葉をキーワードに、過去の天下P作品をいくつかピックアップし、振り返ってみたいと思います。
 

(この先記事折り畳み)





2012年01月26日投稿
【Novelsm@ster】天海春香が死のうと決めた日


 天下Pの初ノベマスにして出世作。 タイトル通り、自殺を考えその準備をすませた春香さんの顛末を描いた作品です。天下Pの作品においては、アイドル達が抱えている問題が、アイドル自身の思索やふとしたきっかけを経て自己解決される、というケースが多いように感じます。
 最終的な問題の解決は、外からもたらされるものではなく、内に既に存在しているものだ、というメッセージなのかもしれません。
 
 本作の春香は、前半部においては今にも消失してしまいそうな弱い存在として描写されてますが、最終的には自分自身を見つめなおし、彼女なりに存在することの意味を取り戻していく姿が描かれます。

 この時の春香の決断は、後に続編「天海春香が生きると決めた日」での描写へと昇華されていきます。

2013年01月09日 23時18分 投稿
【Novelsm@ster】天海春香が生きると決めた日

 
 作中でも1年間が経過していますが、リアルの投稿時期も約1年(2012年1月→2013年1月)が経過しており、天下P自身の進化も感じられる作品です。



2012年02月02日 19時56分 投稿
【Novelsm@ster】如月千早の真夜中散歩 ~日常とは斯くあるべき~


 千早の夜の一人散歩を描いた作品。かなり内省的な描写が続く作品であり、最新作の描写にも通じるところがあるように感じます。本作も、究極的には千早が自身の存在の在り方を確かめる物語、といえるのではないでしょうか。
 天下P作品では春香の出演に次いで、千早の出演が非常に多いですね。春香が主人公だと「陽中陰」、千早が主人公だと「陰中陽」というべき作風にスイッチする感があります。




2012年02月22日 投稿
【Novelsm@ster】名も無きボクに出来ること 前編


【Novelsm@ster】名も無きボクに出来ること 後編


 人によって意見はまちまちだと思いますが、私にとっての天下P最高傑作はこれだと思っています。

 「名も無き」新人プロデューサーが、「トップアイドル」天海春香と過ごした短い時間を描いたのが本作。主人公の新人Pは、もともと春香の大ファンという設定ですが、春香をトップに導いた「本来の」プロデューサーの後任として、急きょ抜擢されます。しかしながら、春香の目に映るのはかつてのプロデューサーの幻影ばかりであり…… 

 本作の主人公は、L4U以降消滅した「ファン代表P」に近い立ち位置にあり、はっきり言って、極めて無名にして未熟な存在です。最初の内は春香にとっても「仕事上のスタッフ」以上の意味のある存在、としては描かれていないように感じます。

 そんな微妙な立ち位置の主人公が、作中で見せる「意地」が実に熱い! 後編のとあるシーンをきっかけに、主人公の存在感は一気に増していき、この物語に大いなるカタルシスを与えています。

 ノベマスファンとして、そして春香ファンとして、実に心に響く名作です。




2012年04月03日 00時07分 投稿
【春香】バック・トゥ・ザ・アイドル Part1【誕生祭】

 
 「もしアイドルという道を選んでいなかったら?」という春香のifを描いた作品。

 アイドルとして一定の成功を収めつつも、何かが足りないと感じていた春香のもとに、突如謎の男が現れます。謎の男は「プレゼントだよ」といって、春香を「普通の学園生活を送る並行世界」へと案内するのですが……

 タイトルを聞いただけでスポーツ年鑑を買いに行きたくなる本作。非常にSFテイストな設定を駆使し、春香が存在を見つめなおす過程を描いています。



2012年04月26日 投稿
100年後のアイドルマスター


 天下Pの最高傑作にこちらを推す人も多いのではないかと思われる、珠玉の短編。
 本作の世界観は、解釈が人によって大いにわかれる可能性が高いと考えられます。そのため、一概に世界観を解説することはできないのですが、本作は作中に美希のみが存在している、という描写に終始することで、逆にその他のキャラクターの存在感を浮き彫りにするという手法が取られていると、私は感じています。

 このノベマスは Don't think feel な作品といえるので、ぜひ見た人なりの解釈を大切にして欲しいなと思います。



2012年07月06日 投稿
天如水星高我三萩双菊


 タイトルを見て、「ん、何か足りなくない?」と感じるところから、このノベマスは始まると思います。
 「100年後のアイドルマスター」とは逆に、他は存在しているけれども「ある人物が存在しない」ことを描くことによって、逆にその圧倒的な存在感を演出するという手法が取られた本作。加えて実際のテレビドキュメンタリー風に映像が作られており、それによってある人物の「不存在感」に鮮烈なリアリズムを与えています。

 夢か現か幻か。
 ぜひ「100年後のアイドルマスター」とセットで味わっていただきたい作品です。




2012年09月08日 投稿
私の夜明けは殺されました - Sympathy for the Dawn - はじまりの夜


 昼に居場所を無くした存在=夜の眷族たる存在・吸血鬼たちの物語。

 天下P作品の中ではめずらしく殺伐としたダークファンタジーなのですが、その極限状況ゆえ、よりシビアに人としての在り方を見つめた作品となっているのではないかと思います。

 ビジュアル的な表現も、本作前後から格段に完成度が増しており、まさに「骨の髄まで」天下P作品の醍醐味が味わえる作品です。



2012年12月31日投稿
【はる】 ようこそ、新世界へ 【ちは】


 12月31日という日に投稿されたことに大いなる意味を持つ本作。
 春香と千早の関係を描いた、いわゆる「はるちは」系の作品ではありますが、そこは天下Pならではの筆によって、独特の世界観を生み出すことに成功しています。

 本作の春香は一見明るいですが、実際には千早とのつながりだけが外界との接触点になっており、その儚い存在感が否応にも胸に沁みます。

 そんな春香が勇気を振り絞って踏み出した「新世界」とは?
 二人の存在のあり方が塗り替わる、その一瞬前を描いた良質の短編ノベマスです。



2013年10月12日 投稿
僕の神様は人の形をしている


 秋月涼と水谷絵理の、少し壊れた恋愛関係を描いた作品。ビジュアル面の完成度はさらに極まっており、加えて物語自体の美しさと相まって、非常に幻想的なノベマスに仕上がっているのではないかと感じます。

 涼にとって、絵理はどのような存在であるのか。二人の関係を正常に戻そうとしたとき、その存在のあり方に決定的な変化が訪れます。




 というわけで、ここまで天下Pの過去作を一気に振り返ってみました。一人のPの、ほぼ全作品レビューというのは、さすがの私も初めてな試みです。
 こうして年代順に並べてみると、天下Pのビジュアル的な進化も目覚しいとは思うのですが、テーマへのアプローチの仕方もどんどん奥深いものになっているように感じます。

 さて、ここで最後にして本題に入りますが、最新作「ある透明な愛のうた」においては、どのようなテーマ性へのアプローチがなされているのでしょうか。



 「ある透明な愛のうた」は、DAT3Pとの合作という形式ではありますが、基本的には天下Pの表現したかったテーマにそって作られた作品であると解釈しています。

ある透明な愛のうた 前編


ある透明な愛のうた 後編


 本作の主人公は意外にも春香ではなく千早でしたが、上で見てきたこれまでの天下P作品の手法の総決算となっているように思います。

 本作の語り部は一貫して千早であり、記憶を失った千早の内省的描写に多くの時間が割り振られています。
 その反対に、春香の描写は極めてあいまいな存在、それも幻か幽霊のような描かれ方をされています。何しろ、春香の姿は後半まで現れることがなく、その上、千早自身が記憶を失っているため、春香の名前すら全くと言って良いほど出てきません。どうも、春香の身の上に何らかの不幸があったものと解釈すべきかと思うのですが、作中では何も明言されていないので、視聴者が想像する以外にありません。

 ところが、これほど春香があいまいな存在として描かれているにもかかわらず、千早の中における春香の存在感が非常に大きいことが伝わってくるため、必然的に千早の内省を追跡する視聴者にも大きなインパクトを与えます。
 
 
 春香の生死(?)を描く手法、千早の夜の内省的な思索、登場人物の行動に「プロデューサー」が介入する構成、春香不在というif、美希のみがアイドルとして出演する配役、ある人物の不存在を描くことで逆に存在感を高めるアプローチ、昼=表舞台に居場所を失った人間の物語、はるちはの人間関係が外界との接触点であること、壊れた関係性が正常へと戻っていく過程……


 「ある透明な愛のうた」を構成するガジェットを並べてみると、不思議と過去の天下P作品に現れた手法とリンクしているように感じるのですが、私の気のせいでしょうか。

 本作においても、千早は内省を通じて様々なことを考えます。失われた春香の存在と向き合った時、はじめて千早の壊れてしまった存在のあり方は再構成され、希望を見出せるのだと、私は思います。
 上手くは言えないのですが、ノベマスにおいて、これほどまでに人間の存在のあり方を肯定するメッセージを発する作品は、そう多くないと思うのです。

 まぎれもなく、名作ノベマスと言って良い作品になっています。




 以上、久しぶりにノベマス特集記事を書いたら、なんだか恐ろしく長くなってしまいました。こんなに書いたの、ひょっとして「このノベマスを見ろ」企画以来かもしれませんね。


 天下Pは今回を以て最後の作品とするそうなのですが、願わくば、また戻ってきていただきたいノベマスPです。引退後、彼が作品をどのようにされるのかはわからないのですが、私としてはひっそりでも良いので残していただけると嬉しいです(勝手ではありますが)。

 P業を引退しても、作品が残っている以上は、そのPの「存在」は残り続けるものと思います。
 これほどの名作群を、できれば私は過去形で語りたくないので、もし差し支えなければ……と思っているのですが。

 いずれにせよ、「ある透明な愛のうた」の投稿をきっかけに、多くの人に天下P作品を見てもらいたいなと願うのは、私の切実な想いであります。
 
 天下P、お疲れ様でした。また、お会いできる日まで。

 

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.15 2014 ノベマス特集企画 comment2 trackback0

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天下P
はじめまして。
NPさんの記事、いつも楽しませてもらってました。
過去にも何度か取り上げて頂いた上に、最後までこんな風に見送って頂いて本当に嬉しいです。
「名も無きボクに出来ること」は自分でも最高傑作だと常々思っていたので、NPさんという賛同者を得て自信を持てました(笑)

投稿した動画に関してですが、削除等はしません。
作品が存在することそのものが、決して完全に許されている場所ではないからこそ、自分の手で消すつもりはないです。ご報告まで。

遅くなりましたが、20選入れて頂いて嬉しかったです。
NPさんの一票に勇気づけられた日を昨日のように思い出します。
改めて、今までありがとうございました。

コメントにて長文失礼致しました。また、いつか、どこかで。
2014.06.16 21:14
NP(ニコラスP)
>天下Pへ

 天下Pはじめまして! こちらこそコメントいただき大変嬉しく思います。私も久々に気合いを入れた記事を書くことが出来ましたが、ひとえに「ある透明な愛のうた」を見ることが出来たからでした。
 長年のニコマスPライフ、本当にお疲れ様でした。


「名も無きボクに出来ること」は、今回過去の作品をほぼ全部見返してみて、やっぱり私にとってのシリーズナンバーワンだなという認識を新たにしました。天下P自身もお気に入りの作品とのことで、私もいいことを聞けました。

 投稿動画を現存させられるとのこと、言及いただきありがとうございます。私もかつてはPV作品などいくつか上げていたりもしたので、そのお考えに共感します。

 ニコマスでの活動は一区切りとなるかと思いますが、またどこかで天下Pの作品にお会いできたらと思います。
 今後のさらなるご活躍をお祈りしています。
                     
              ニコラスP(NP)
 
2014.06.17 22:45

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