※今日はミリオンライブ・ハッピーパフォーマンス二日目の感想記事を書く予定でしたが、天下Pが引退されるとの報を受けたため、急きょ予定を変更して記事をお送りします。
2012年以降のノベマス界において、屈指の実力派Pとして知られた天下Pですが、この度最後の作品を発表されたとのことでした。
ある透明な愛のうた 前編
ある透明な愛のうた 後編
天下P & DAT3Pの合作
天下pは2008年8月にPVPとしてデビュー後、3年半近いブランクを経て、2012年1月以降からノベマスPとして活動を再開したという、かなり特異な経歴を持つPです。
PV畑出身であるためか、彼の作品はノベマスでありながら映像面の演出が際立っており、どれも『劇場版クオリティ』と評せるほど冴え渡っています。
さらにそのビジュアル演出に深みを与える秀逸なシナリオ構成力を兼ね備えているため、彼の作例はどれを取り上げても高水準です。
どの作品でも良いので天下Pのノベマスをひとつ見ていただけたなら、『ああ、こんな綺麗なノベマスを作れる人がこの世にいるんだ…』という感動を分かち合えるかと思います。
私も、オススメのノベマスを紹介してくれと人に言われたら、天下Pの作品を紹介リストの中に入れるのは、まず間違いないことでしょう。
※「僕の神様は人の形をしている」より しかしながら、こういった彼のノベマス構成の精緻さというのは、いわば『外側』の魅力であって、天下P作品の真の魅力はもう一段深い所に流れるテーマ性にあるのではないかと思うのです。
私見ですが、天下Pはデビュー以降、一貫して
人間の『存在』のあり方をテーマにし続けているのではないか、と考えています。
私個人はこれまで天下Pご本人と直接絡んだことがないので、彼がどのような哲学を以てノベマス作りを行っているかは、作品から推測する以外の方法がありませんが、今回発表された「ある透明な愛のうた」を見て、やはりある程度そういうテーマ性を意識されているのかな、と感じました。
そこで今回の特集では「存在」という言葉をキーワードに、過去の天下P作品をいくつかピックアップし、振り返ってみたいと思います。
(この先記事折り畳み)
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おかげさまでこの「NP氏の本棚」は今日で開設2周年を迎えました。いつも見に来てくださっている方に心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。時間の許す限りは続けていくつもりですので、今後ともよろしくお願いします。
2周年をささやかに記念して。

ビキニの上だけ映すとパーティードレスみたいに見える、ような気がする。
ちょちょっとMMDを使って記念画像を作ってみました。アイマス2風春香さんモデルはこちらよりお借りしています。
【MikuMikuDance】天海春香 3rd【作製完了】
uchikura氏
さて、2周年の記念に何をしようかなと考えたのですが、今回は自分の振り返りの意味も込めて、2010年までの作品限定で、私自身が「もう一度語りたいあのノベマス」について記す記事にしようかなと思います。お時間よろしければ、しばしお付き合いください。なお、ノベマス以外にも架空戦記作品を数作含めています。
先日から第3章がスタートしたラヴォスPの「クロノマスター」シリーズ。私は最近になってから見始めたアイマス架空戦記シリーズなのですが、こないだ見た第30話があまりにも面白かったので、日曜日に一日がかりで一気見してきました。ちょうど物語の区切りも良いので、シリーズに新規参入されるのにも今が絶好のチャンスではないでしょうか。
そこで今日は一気見の勢いも借りて、ラヴォスP特集を組んでみたいと思います。
シリーズマイリスト
第一話
最新話
さて、クロノマスターであります。本作品は
日本のRPG史を代表する名作「クロノトリガー」を物語の舞台とし、クロノの登場人物と融合してしまったアイマスキャラたちが冒険を繰り広げる、クロスオーバー物の二次創作となっています。
原作クロノの優れたシナリオと設定を120%活かしつつ、厳しい試練を乗り越えていく少女たちの成長を描いた正統派冒険ロマンとして、多くの支持を集めている作品です。かつて何周もプレイして遊びつくしたはずのクロノトリガーですが、アイドルマスターの世界観によって巧妙に再構築が施されており、初めてクロノトリガーをプレイしたときのドキドキ感をみごとに現代に蘇らせています。この作品そのものが、クロノが発表された1995年と現代をつなぐゲートなのではないか、というファンタジックな感慨がわいてきますね。
全体的に見てアイマスを知っている方向けの作品といえますが、ストーリー中には作者ラヴォスPによる独自の世界観解釈などが盛り込まれていて、古参のクロノファンにとっても新発見があるかと思います。
クロマスがいかに優れた作品であるかについては、実際に見ていただく以上に説得力のある説明は無いのですが、特に私が印象深く感じている点は3つあります。
まず第1点は何と言っても配役が上手いということです。キャラ配役はオープニング動画で公開されているのでどんどん書いてしまいますが、主人公クロノには春香が、マールには雪歩が、ルッカには律子が乗り移っているというように、この作品はクロノキャラにアイドル達の魂が融合してしまうという世界観が中核となっています(ちなみに外見はアイドルの姿になっている設定)。
クロノ・アイマスそれぞれのキャラの特徴をつかみ、共通点を探りだして融合させているため、違和感無くアイドル達がクロノの物語に溶け込んでいるわけです。さらにクロノで因縁の深い関係、例えばカエルと魔王の殺伐とした関係に、やよいと伊織の親友関係を組み込むことで、よりドラマチックな少女同士の葛藤を表現するなど、ラヴォスPの工夫が随所にみられます。クロノキャラ側も良い味を出していて、ニズベールがかっこいいクロノトリガーなんて、世界広しと言えどもここだけなのではないでしょうか。
第2点はストーリーテンポの良さです。RPGのシナリオを土台とした二次創作は宿命として「話数が膨大になりがち」なのですが、ラヴォスPは原作シナリオをほとんど削らない代わりに、バトルやダンジョンシーンを大胆に編集してしまうことで、ドラマ性を失うことなくハイスピードに進める手法を創案されてます。この手法により、作品全体をテンポの良い会話劇が多く占めることとなり、よりアイドル達のキャラクターを深く掘り下げることに成功していると感じます。おそらくこれは「強くてニューゲーム」でのサクサクプレイの再現を意図しているのではないかと思います。
第3点はストーリーとテーマ性を兼ね備えている点でしょうか。ストーリーに関しては、原作クロノのシナリオが抜群に優れていますから面白さは保証されているも同然なのですが、その上でアイドルマスターの世界観と上手く組み合わせる手腕が巧みです。
そして、このクロノマスターのメインテーマは、「逃げずに、立ち向かうこと」であると私は考えています。作品を追いかけていると、頻繁に出てくる言葉が「ここは私に任せて、皆は逃げて」という自己犠牲的なフレーズであると気付きます。この言葉は形を変えて、クロマス中の様々なイベントで表現されるのですが、そこで仲間を見殺しにせず、必死に助け合って強敵に立ち向かっていくのが本作の熱いところです。こうした一本の背骨たるテーマ性を持つことが、本作がただのクロスオーバー物でなく、物語作品としての高い評価を得ている所以かと思います。
実はこの作品、他の異世界トラベル系架空戦記と大きく異なる点があるのです。それは「異世界に飛ばされたアイドル達は、“時の最果て”からいつでも元の世界に帰れること」です。要するに、春香達は巻き込まれて仕方なく冒険をしているのではなく、自分たちの意志で異世界に留まり、見知らぬ人々の未来を救おうと命がけの冒険しているわけです。逃げようと思えばいつでも逃げられるにもかかわらず、仲間のため人々のため、あえて絶望の戦いに身を投じるアイドル達。それはきっと、本当に心が強い人間にしか出来ないことではないでしょうか。その健気さ、心の強さ、そして仲間との絆の描かれ方が、私は大好きです。
だいぶ勢い込んで長文を書いてしまいました。ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございます。この紹介文でどのくらいの方がクロノマスターに興味を抱いてくださったかはわかりませんが、クリックした先に、王道まっしぐらの素晴らしい冒険ロマンが広がっていることを保証させていただきたいと思います。
遅ればせながら今後の物語の展開と、ラヴォスPのご活躍を、当ブログは心から応援しています。
以下はネタばれを含んだおまけ記事です。「Read continuing」をクリックしてお読みください。 ↓
ノベマス特集記事の第2弾です。今回は「再生時間3分00秒~3分59秒以内のノベマス紹介」という視点で特集を組んでみました。忙しくて長時間のノベマスが見られないと嘆かれている方にお勧めしたい記事です。
企画マイリスト
(総再生時間数:57分40秒)
本記事用に書いた雑文は非常に長いので格納しています。とにかく作品を早くみたい! という方は上記マイリスト(↑)に直接アクセスなさってください。各作品の紹介文はマイリスト内に記載しています。
以下、記事の続きは「
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私の独断と思い付きで始める事にした新コーナー【ノベマス特集企画】の第一回記事です。といっても大げさなものではなくて、毎回ひとつテーマを決めてノベマスを蒐集し、一本の記事にまとめようという試みであります。今後もテーマを思いついた時に不定期にやっていく予定です。
さて第一回目となる今回は、今の季節にぴったりな「夏らしいノベマス」を集めてみることにしました。暑さ厳しい日が続いていますが、こんな時は冷たい飲み物片手にノベマスを楽しむというのはいかがでしょうか。
本記事では夏を舞台としたノベマスを10作品ほど紹介しています。掲載順は「動画再生時間が短い順」としました。お忙しい方は記事を上のほうから、夏休みで時間的余裕のある方は下のほうから順に見ていかれるとよいかもしれません。
それでは、続きは「read more」よりどうぞ。